CONCEPT

私たちのからだの大半は水でできている。地表面に水が流れているのと同様、私たちのからだの中にも、水が流れている。植物の中にも、水が流れている。というよりむしろ、植物の形そのものが、水の流れである。「みどり」という言葉が「みず」と同様の語源を持つのも、全く自然なことだ。
近代的な建物の中にも、水が流れている。しかしそこでは水という自然が、人工的な配管のシステムの中にほとんど完全に制御されている。そんな中で日々を過ごす私たちも、自分たちが水という自然に貫かれていることを、忘れている。

ここでは近代的なオフィス空間のただ中に、水と構造体と植物がからみ合った、庭とも建築ともつかない光景をつくろうとした。中央にあるアクリルの構造体を伝って、水が一枚の花のようにひろがりながら、流れ落ちる。この水の流れと、様々な植物がからみ合う。人は、この奇妙な混ざり合いの中に入り、目に見える、あるいは見えない様々な流れに、耳を澄ます。これは、庭師の思考に導かれながら、建築のかたい殻を、水の流れの中に解き放つ試みであり、私たちのからだを、変化する水の様態の中に解き放つ試みである。(展示コンセプト文より)

OVERVIEW

第10回
Flow-er

企画建築家
平田晃久(建築家)
コラボレーター
塚田有一(ガーデンプランナー/フラワーアーティスト)
開催期間
2012年7月24日(火)~8月10日(金)
シンポジウム
「Flow_erの風景」 2012年7月28日(土)
公演
「水の音」2012年8月3日(金)
出演
安田登 (能楽師/ワキ方)、槻宅聡 (能楽師/笛方)
協力
岡安泉照明設計事務所、株式会社富士清水
オープニングパーティフード
HIRO Kitchen
DM・ポスター制作
SUIMOK DESIGN

平田晃久

建築家
1971年 大阪府生まれ。京都大学大学院工学研究科修了後、伊東豊雄建築設計事務所を経て、2005年平田晃久建築設計事務所設立。主な作品に桝屋本店(2005)、alp(2010)、Bloomberg pavilion(2011)ほか

塚田有一

ガーデンプランナー/フラワーアーティスト/グリーンディレクター
立教大学経営学部卒業。草月流家元アトリエ、株式会社イデーFLOWERS@IDEEを経て独立。
ランドスケープから個人邸の作庭、舞台装飾、花活け、オフィスのgreeningなど植物による空間編集を数多く手がける。
赤坂氷川神社「はなのみち」、TISTIOU「花の文」、「花の座 伝芭」など、花の教室や座で講師を務める。
3.11以降「めぐり花」という連句と花道の型を生かした共創の場を各地で開催。旧暦や風土に根ざした植物と人の紐帯をたぐる様々なワークショップをその場や季節のストーリーを取り込みながら展開している。
2020年、21年にはC0.山田うんのインスタレーションダンス”Body Garden”、”コスモス”、声明とダンスのコラボレーション”BRIDGE”にて舞台装花を担当。