Vol.12 Ripple
CONCEPT
この展覧会の依頼があったとき、協働する作家として、私は真っ先に珠寳さんを想いました。その「花」はただの花でなく、私たちとの間におかれた、まさに「賜物」。たちまち空間がさざめき、そして静かにひとつになっていきます。
花は、摘まれてひととき生命を絶たれ、ふたたび水面に立てられて活かされます。その指先に波立つ波紋の広がりが、やがて私たちまでをも包み込んでいきます。私はそんな空間をイメージして、この会場をデザインしました。
INTERVIEW
オフィス家具のショールームという日常空間を劇的に変えるということは、普通のギャラリーで行うのとは違う面白みがあると思いました。ほかのアーティストとの協働が条件でしたが、建築というのは〈器=空間の構え〉をつくって、住みこなしたり使いこなされたりすることがうまく重なり合って本当の空間が立ち上がるというのが、日頃からの自分の考えでもありましたから、何かアート作品のために容れ物をつくるというよりは、ある空間をつくり、それが、家が住みこなされるように、あるいは服が着こなされるように、何かをもたらしてくれる形で協働していただける方がいいなと思いました。